ヘアカラーリング剤の安全規制

100%ヘナには、アレルギー性接触皮膚炎を引き起こしやすい酸化染毛剤(パラフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、パラアミノフェノール、トルエン-2,5-ジアミン等)は、一切含まれておりません。

毛染めと皮膚障害  


(1)消費者が毛染めなどで異常を感じる事態に

消費者庁ウェブサイトにおいて、消費者安全調査委員会による毛染めによる皮膚障害の報告がされています。

異常を感じた経験の有無

毛染めでかゆみ等の異常を感じた経験の有無について聞くと、自宅での毛染めでは15.9%が、現在通っている理美容院での毛染めでは14.6%が異常を感じた経験があると回答しており、両者で差はほとんど見られなかった。
また、消費者庁の事故情報データバンクに登録された事例においても、自宅での毛染めで発生した事例と理美容院での毛染めで発生した事例の両方の事例があった。

毛染めで異常を感じた時の行動

毛染めで異常を感じた経験がある消費者に、異常を感じた後の対処について複数回答を可能として聞くと、「しばらくすると症状が治まったので特に何もしなかった」が理美容院での毛染めでは62.7%、自宅での毛染めでは52.8%であった。染毛剤の使用説明書には、染毛後に何らかの異常を感じた場合は、必ず医師の診断を受けるよう記載されているが、症状が出て「医療機関を受診した」と回答した消費者は、理美容院での毛染めで3.6%、自宅での毛染めで9.7%で あった。
また、患者に聴取りを行ったところ、毛染めでかゆみ等の異常を感じたが数日で治まるのでそのまま特に何もせずに何年間も毛染めを続けていたところ、症状がひどくなり我慢できなくなって医療機関を受診した、という事例が見られた。

警告・注意情報への関心

自宅で毛染めをする消費者に、購入したカラーリング剤に添付されている使用説明書を読むかについて複数回答を可能として聞いたところ、「使用説明書は読まない」との回答が20.4%あった。また、使用説明書のうち、「使用方法」の記載部分を読むとの回答は59.5%と過半数あったものの、「使用前の注意」、「使用時の注意」、「次の方は使用しないでください」といった、安全に関する警告・注意表示の部分を読むとの回答は、いずれも半数に達していなかった。なお、使用説明書を全て読む者は6.8%であった。

リスクに対する知識・意識

毛染めでアレルギーになる可能性があることを知っていると回答した消費者は62.1%であった。消費者は、染毛剤がアレルギーを引き起こす可能性のある製品であることを一定程度認識しているようにうかがえる一方、32.1%は毛染めについて知っていることはないと回答している。
また、毛染めをして皮膚などに異常が出たことがあると回答した消費者に聞いたところ、「カラーリングを続けていると、これらの症状は悪化していくと思う」との回答が55.5%、「これらの症状が出た場合、もう毛染めを行ってはいけないと思う」との回答が50.6%あり、毛染めにより異常が見られた際に慎重に考える者が半数程度いることが分かる。その一方、「自宅で染めていて、これらの症状が現れた場合、別の製品に変えれば改善されると思う」が56.6%、「体調が良いときに毛染めすればこのような症状は現れないと思う」が32.5%、「理美容院で染めていて、これらの症状が現れた場合、店を変えれば改善されると思う」が26.2%と、特に アレルギーのリスクに対して十分な認識を持っていない者が見られた。このほか、「症状が現れない人はずっと無症状のままだと思う」とアレルギーについての知識が十分でないことがうかがえる回答が40.2%あった。
加えて、毛染めが原因でアレルギーになることは知っていたが、自分がアレルギーになるとは思っていなかった事例や、頭皮以外にも症状が現れることがあるとは知らなかった事例があった。
これらのことから、消費者は、毛染めに伴うリスクやアレルギーについての知識が十分とは言い難く、必ずしもリスクを回避する行動がとられていないことが考えられる。

出典:消費者庁ウェブサイト
消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書【概要】
[毛染めによる皮膚障害](消費者安全調査委員会)


(2)ヘアカラーリング剤の安全規制

消費者庁ウェブサイトにおいて、日本ヘアカラー工業会が定める「注意表示自主基準」の案内がされています。

ヘアカラーリング剤は医薬部外品と化粧品とに分かれており、それぞれの安全規制について は医薬品医療機器法等に定められている。

日本ヘアカラー工業会が定める「注意表示自主基準」では、必須表示8項目を外箱に表示することとしている。

セルフテスト(※2)は、消費者が、染毛剤でアレルギーが現れるかどうかを自宅や理美容院で毛染めする前に確認するための唯一の手段である。医薬部外品及び化粧品の中で、消費者に対して使用前に毎回必ずセルフテストを実施することを求める製品は、染毛剤のみである。

※2 染毛剤で毛染めをする前に、染毛剤に対するアレルギー反応を見る皮膚テスト(製品を塗布して、密封はしない。)。染毛剤 の製品の外箱や添付文書では「皮膚アレルギー試験(パッチテスト)」と表現されている。しかし、‘パッチテスト’という名称と、医師が行う皮膚テストの一種であるクローズドパッチテスト(閉鎖貼布試験)とを区別する必要があることから、本調査においては、消費者や理美容師が染毛剤で毛を染める前に行う皮膚テストのことを「セルフテスト」と呼称することとする。

表 必須表示8項目 ([参照]注意表示自主基準より)

○ ご使用の際は使用説明書をよく読んで正しくお使い下さい。
○ ヘアカラーはまれに【重い又は重篤な】(*1)アレルギー反応をおこすことがあります。
○ 次の方は使用しないで下さい。
・今までに本品に限らずヘアカラーでかぶれたことのある方
・今までに染毛中または直後に気分の悪くなったことのある方
・頭皮あるいは皮膚が過敏な状態になっている方。(病中、病後の回復期、生理時、妊娠中等)(*2)
・頭、顔、首筋にはれもの、傷、皮膚病がある方
○ ご使用の際には使用説明書にしたがい、毎回必ず染毛の48時間前に皮膚アレルギー試験(パッチテスト) をして下さい。
○ 薬剤や洗髪時の洗い液が目に入らないようにして下さい。
○ 眉毛、まつ毛には使用しないで下さい。
○ 幼小児の手の届かないところに保管して下さい。
○ 高温や直射日光を避けて保管して下さい。

*1 【重い又は重篤な】については、必ずどちらかを選択する。
*2 括弧内(病中、病後の回復期、生理時、妊娠中等)は各社判断により例示として表示してもよい。

出典:消費者庁ウェブサイト
消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書【概要】
[毛染めによる皮膚障害](消費者安全調査委員会)

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